2020年問題消滅か、都市農地を生かした農ある街づくりへの転換

生産緑地制度の法改正(以下、新法)によっていよいよ見えてきたのが、農と都市が共存する未来。農業と福祉の連携支援など、行政の分野をまたいで複数の施策を組み合わせた取り組みがいよいよ行いやすくなるのではと、希望を感じています。以下に日本農業新聞の記事を引用します。

 「守る」から「生かす」へ。都市農地を有効活用するための環境が整ってきた。新たな法制度や税制を追い風に、「農のある街づくり」を自治体、JA、農業者一丸で進めたい。

 大きな転機は、3年前にできた都市農業振興基本法。政府は都市農業の多面的な機能を評価し、「宅地化」から「保全」へと政策転換した。これまで都市農業の維持に大きな役割を果たしてきた生産緑地制度をもっと使いやすくする見直しもその一環だ。農水省が今国会に提出する都市農地の貸借を円滑化する法案に期待がかかる。

 生産緑地制度は1992年に始まり、三大都市圏特定市の市街化区域農地を対象に、30年の営農継続を条件に固定資産税などを減免、また終身営農で相続税の納税が猶予された。生産緑地は4年後、対象農地の8割約1万ヘクタールで転用規制が切れる。既にハウスメーカーが触手を伸ばし宅地への転用を促している。一挙に放出となれば、供給過剰で地価下落を招くのは必至だ。それでもなくても少子高齢化で空き家の増加が社会問題化している。安易に農地を手放し、投資に走るのはリスクを伴う。

 こうした「2022年問題」に対応するため、昨年の生産緑地制度の法改正で、30年経過後も10年ごとの更新が認められ、税制優遇措置が継続されることになった。都市農家にとって大きな前進であろう。

 さらに新法では、生産緑地を第三者に貸した場合でも相続税納税猶予が受けられるようにする。現行は「自作主義」で耕作ができなくなれば相続税納税猶予が打ち切られ、農家の重い負担になっていたが、その不安を解消する。所有者が、借りたい農業者との間で賃借権を設定、作付けなどの事業計画を作成し、農業委員会の審査を経て市町村が認定する。借り手の権利が強い法定更新の例外扱いとなるので、期間が終われば農地は所有者に返還される。これなら後継者がいなくても安心して第三者に農地を任せられる。都市農地を維持・活用するための制度改正として評価したい。

 新法では、都市住民に人気の市民農園を開設しやすくするため、NPO法人や企業が、市町村などを介さず直接所有者から借りられるようにする。この場合も税制優遇措置は継続する。

 また三大都市圏特定市以外の相続税納税猶予制度は、現行通り20年営農での猶予が継続されるので、この点も心配はない。

 こうした税制面の見直しはすでに税制改正大綱で決定しており、今国会で法案が成立すれば夏以降にも施行・適用の運びだ。国会審議では、借り手とのトラブルや目的外使用を防ぐための厳格な認定基準や運用ルールをさらに詰めてほしい。

 JAグループも一連の法制度改正を好機と捉え、貸し手と借り手のマッチング、相続など相談業務の強化、体験型農園の開設支援などに力を入れ、自己改革に弾みをつけるべきだ。

(2018年02月15日 日本農業新聞より引用)