(社)日本土地資源協会・松村拓也代表理事に訊いた②

①の続き

「土地を登記する」ことって、常識だと思っていますよね。日本の土地は所有者が誰とか、みんな誰かしらによってきちんと管理されているものと思っているけど、実はとんでもない、登記されているのは「民有地」だけです。

下のグラフは約37万km2ある日本の国土の内訳です。黒い部分「その他」となっているのが、誰も持ち主を管理していない土地です。国有地、県有地は登記されてない。お役所は固定資産税を払う必要がないから、土地を登記しないんですよ。
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国土のうち、登記されている民有地は16万km2あって、宅地はそのうちの10%、あとは田んぼや畑、山林です。不動産屋さん=宅地建物取引業というのは、この宅地の部分だけを扱っているんです。ここしかお金にならないから、皆ここしか興味ない。ごく一部のお金持ちが宅地市場だけを差して「不動産の時価」と呼んでいるという話です。

そんなことになったのは、明治時代以降です。それ以前は、全部を殿様が経営していたんです。すべて殿様による民有地で、国盗り合戦というように戦って取っていた。だから日本中が開発され、当時3000万人の日本人が、すみずみまで人工の里山を手入れしていたんです。

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いま現代人は明らかにほったらかしです。宅地ですら、ほったらかしています。
現代は、16万km2の民有地に、所有者が約4000万人います。みんな都会の中、鉄道駅の周りしか、興味がない。ところがいま、世界が日本の国土に目をつけていますよ。日本はそこらじゅう水源地で、どこでも温泉が出て、高速道路で何処へでも行けて、地方空港もこんなに整備できてしまった。開発済みのこんないい土地だらけなのに日本人自身が捨てている。

ではお役所は何かしていたかというと、適当に召し上げて、転売して、お金に変えていただけです。直近まで世帯数が増えていたから、細切れにして売ることが成り立ってたわけです。悪循環が成り立って、なるべくしてここまできてしまった。今後これが徐々に破綻していく姿が想像できます。そのうち中国人に売るしかなくなりますが、それを取り締まる法律も役所も、ないのです。

最大の問題は、これらの土地の権利が、使う気がさらさらない高齢者の名義になってしまっていること。大枚払ってその土地を買わない限り、何にも利用できないという状況になっているのがおかしいのです。そこに巻き込まれる若い世代、これから生まれてくる未来の世代のためになんとかしないと。

なかには、自分が亡くなった後は地域社会のために活用したいと望んでいる土地所有者さんもいます。しかし多くの場合、行政から寄付を断わられています。お金でしか解決できないと思い込んでいるから、行政でさえも、土地は開発しないといけない、でもほとんどの土地はもはや使い切れず、管理もしきれない……と断られるのが現状になっていると思います。

この悪循環をとめるには、持ち主は誰でもいいから、収益があがる土地と上がらない土地を一緒にひとつの事業にして、土地を利用して楽しめばいい。利用したい有志を集めて、固定資産税を割り勘にするところから第一歩をはじめてみよう。
そうして雇用を生み出したり、皆で活用する方向に向かえばいいと思うんです。

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[PROFILE] 一般社団法人日本土地資源協会 代表理事 松村拓也氏
 2012年、世田谷区を拠点に「空き家を生まない社会を目指して」設立。
 土地を活用すべき資源と捉え、調査研究や普及啓発、土地資源の保有、利用促進・整備・保全、
 土地資源のネットワーク化による地域社会の活性化などに取り組んでいます。