(社)日本土地資源協会・松村拓也代表理事に訊いた①

質問です。日本全体で“空き家”はいまどれくらいあると思いますか?
(1)500万戸
(2)800万戸
(3)1200万戸

最近“実家の片付け問題”、“特定空き家”が記事で取り上げられてきたので、その大前提のようになってきた空き家総数、
いまのところ、一応は「800万戸」ということになっています。

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でもこの数字、このために調査したものじゃないんです。
空き家の調査をするお役所なんて日本にはまだありません。
空き家問題というとよく出てくるのが上記のグラフ(平成25年度住宅・土地統計調査)ですが、
しかし、この調査自体はサンプル調査で、空き家総数はどこから導いてきたのか?が書いてない。

調べてみると、単なる「供給戸数」ー「世帯数」なんです。
「供給戸数」は税務署から出ている数字です。「世帯数」は5年に一度の国勢調査からの数字。
この世帯数が何の数字なのか確認が取れませんが、つまり「一世帯が一戸に住んでいるもの」として単純に引き算しただけです。
つまり、「供給戸数」から「世帯数」を引いたら、少なくともこれだけある(と想像できる…)
という程度の数字であって、最低でも800万戸あるという意味です。
だから下手すると実態は…、お年寄りがホームに入って明日にも空き家になりそうという状態も含めると、
すでにその倍の数、家が余っているといえるかもしれません。

住環境がよいとされている世田谷区でさえ、住宅流通は大問題です。
一方で、日本はいま空前の建築ブームです。なぜこんなこじれた状況が起こっているのか?
住宅の新築信仰? 中古住宅市場が未成熟だから?

それもひとつですが、問題がこれまで見えてこなかった理由は「世帯数」の増加です。
日本は1982年に人口1億2千万を越えてから人口増はほぼ横ばいでしたが、
一世帯あたりの人員が半減し、「世帯数」は倍に増えたのです。
だから家が売れていました。
つまりこれまで日本は、「世帯数バブル」でもってきたんです。

人口停滞と思っているけれど、直近までバブルだったんです。
たとえば家電は世帯ごとに買い求めますから、経済は世帯数でまわってきました。
でもさすがに世帯数もそろそろ頭打ち、限界を迎えています。
世界を見わたしても豊かな国ほど1人〜2人世帯が多いものですが、それが果たして“豊かさ”なんでしょうか?
とんでもない、これから日本で、家はとてつもなく余ってゆきます。
日本ではまだ誰も、それを実感していないといえます。(…②に続く

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[PROFILE] 一般社団法人日本土地資源協会 代表理事 松村拓也氏
 2012年、世田谷区を拠点に「空き家を生まない社会を目指して」設立。
 土地を活用すべき資源と捉え、調査研究や普及啓発、土地資源の保有、利用促進・整備・保全、
 土地資源のネットワーク化による地域社会の活性化などに取り組んでいます。